大丈夫、積んでる

さうざんどますたーになれなくて

青崎有吾「地雷グリコ」

これは最高に面白かった。 文化祭の出展場所を、抽選ではなくゲームで争うというお話から始まる連作短編5編。 ゲームと言っても難しいものではなく、既存のものに一捻り加えたものばかり。 地雷グリコでは、じゃんけんの「グリコ」に10段下がるという地雷を…

エルヴェ・ル・テリエ「異常【アノマリー】」

面白い。 何ら情報入れないで読んだので、こんな話になるとは予想外だった。解決らしい解決がないから、最後はモヤっとするけど、とはいえ面白いことに変わりはない。ストーリーテリングだったなあ。ミステリーではなく、SFですね。 何を言ってもネタバレに…

栗原ちひろ「サトリの花嫁2」

「私は勝手に医者になり、勝手に恋をいたします。けして、誰かを救うためではございません。私がそうせずにはおられないから、勝手にやるのです!」 恵まれない生活から救ってくれた旦那様の病気を治すために、サトリと呼ばれるほどの観察眼を駆使して医師を…

辻村深月「家族シアター」

真面目な姉を鬱陶しく思う妹。趣味で反発し合う姉と弟。うまく息子と話せない父。娘の考えていることが理解できない母などなど、家族を描く7編の短編集。 どのお話も価値観とコミュニケーションのズレが、ギクシャクを生んでいていたたまれない。家族という…

サンドローネ・ダツィエーリ「パードレはそこにいる」

「あの子どもにどんな運命が待ち受けているか、わかりますか。一生とは言わないまでも、何年も囚われの身になるんです。精神的暴力、肉体的暴力。言われたとおりにできなかったり、逆らったりしたら、いつ殺されるかわからない」 「あなたと同じように、です…

夕木春央「方舟」

「要するにこういうことだな?ここを脱出するためには、誰か一人が、この水没しようとしている地下建築に閉じ込められなければならない。そして、地上に出たとしても、救援を呼ぶにはかなりの時間がかかる。その間は、建物が水没していくのを黙って見ている…

ヨルン・リーエル・ホルスト「警部ヴィスティング 鍵穴」

「政治家のパーナール・クラウセン?でも、もう亡くなったのに?死に方に疑わしい点でも……」「死因は心臓発作だ。だが、不審な大金を遺したんだ。その出所を調べている」「大金ってどのくらい?」「八千万クローネを超える現金が別荘に保管されていた」 亡く…

葉山透「9S<ナインエス> XII true side/ XIII true side」

10年ぶりのシリーズ続編にして完結編。面白かった。 12巻は、これぞナインエスと言っていい、由宇のカッコよさ全開でした。グラキエスという遺産絡みの問題によって、人類滅亡まであと四日に迫る中、彼女がやってくるだけで、あっという間に解決していく様が…

サラ・ヤーウッド・ラヴェット「カラス殺人事件」

「もちろん彼は立場的に"ミッドサマー・ルール"を忘れるわけにはいかない」「何それ?」「テレビでは、刑事が恋しちゃう容疑者は、例外なく犯人だってこと」 英国の田舎町。生態学者である主人公が、開発地域の下調べをしていた頃、依頼主が殺された。主人公…

リン・メッシーナ「公爵さま、いい質問です」

「いったいなぜこんな目にあっても、犯人を見つけようとするんだ?得することなど何もないじゃないか」 「あら公爵さま、いい質問ですね」 19世紀英国を舞台に才色兼備な公爵と深窓の令嬢が殺人事件に挑むコージーミステリーの第二弾。前作は、自分たちの容…

エル・コシマノ「サスペンス作家が殺人を邪魔するには」

ひょんなことから、ダークサイトに元夫の殺害依頼があることを知った。そんな依頼は撤回させないと、安心して子どもを預けられないと思ったサスペンス作家のフィンレイは、同居人のヴェロと一緒に、元夫の殺害を阻止に取り組むというシリーズ第二弾。 前作同…

宮島未奈「成瀬は信じた道をいく」

頭がいいけど、ちょっと変わった発想と行動力を持つ成瀬に巻き込まれた人たちの連作短編第二弾。成瀬と島崎のコンビ「ゼゼカラ」に憧れる小学生、受験の成瀬を心配するお父さん、成瀬のバイト先にクレームを入れる主婦、成瀬と共に観光大使となった女子大生…

リン・メッシーナ「公爵さまが、あやしいです」

ハウスパーティの夜、ひょんなことから発見した死体の側に、才色兼備で有名な公爵がいた。自分が殺したのではないと言うが……という19世紀英国を舞台にしたコージーミステリー。 これはたしかに公爵さまがあやしい。 不自然な嘘をつくし、身分差があるからし…

阿部暁子「金環日蝕」

知人の老女がひったくりに遭う瞬間を目にした大学生の春風が、その場に居合わせた高校生の錬とともに、取り逃がした犯人を追うお話。探偵側といわゆる犯罪者側の両面が描かれているけど、何より恐ろしいのが、犯罪者側でした。普通の人が、ほんのちょっと踏…

ある行旅死亡人の物語

ネットニュースを読んで、何かよくわからないけどミステリーだと思ったのが、読もうと思ったきっかけ。 nordot.app 書籍は、記事をより詳しく書いていますが、調べても名前以上のものが出てこない人をどうやって追うかという詳細が面白い。 事件性がないので…

荒木あかね「此の世の果ての殺人」

あと2ヶ月で小惑星が日本に衝突し、世界が滅びようとしている中、教習所に通う主人公は、教習車のトランクに死体が詰められていることを発見して……元警察官の教習所教官と生徒が殺人事件を追うお話。第68回江戸川乱歩賞受賞作。 もうすぐ皆死ぬのに、なぜ人…

片田舎のおっさん、剣聖になる~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~

剣の腕はあれど活かせぬまま中年になった男が、騎士団の特別指南役に推薦され、自責の念にかられながら活躍していくお話。なろう既読、書籍版は未読。マンガは、なろう版から結構変わってるけど、テンポいいし、強い人はちゃんと強さが伝わる。良い編集です…

フレディみかこ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」

様々な人種が集い、見えない階級があるイギリス。そんなイギリスで子育てしている著者フレディみかこが、元底辺中学校に通う子どもと共に、差別やいじめなどに悩みながら乗り越えるエッセイ。というかノンフィクションかな。 子どもは身近な大人の言動をみて…

井上真偽「アリアドネの声」

震災により地下に取り残された女性を助けるため、ドローンで探索することになったが、その女性は見えない聞こえない話せない。どうやって誘導するか、と言うお話。時間との戦い、優先順位の問題、一歩間違えたら終わるという緊張感。無理じゃないと言い続け…

加藤シゲアキ「なれのはて」

たった一枚の絵の展覧会をしたい。が、画家の素性がわからない。展覧会の許可を得るために、正体不明な画家の素性を調べるお話。面白い。文章の硬さが、左遷された主人公の正義感とよく合っている。青臭いまでの理想と、正義が執行されることの影響の問題点…

河﨑秋子「ともぐい」

時は明治。山に籠り、獲物を撃ち、町に下りて仕留めた獲物を売る。そんな無骨な男を描くお話。 街の人の親切な言葉は生き方の違いから響かない、でも町がないと生きていけない。息が詰まるお話だ。 獲物を追う緊張感は、気持ちのいい張り詰め方なのに、これ…

万城目学「八月の御所グラウンド」

中編二篇。高校女子駅伝で、前日にエントリー変更で選手に選ばれた一年生のお話と、お盆期間中に行われる大人たちの草野球話。 駅伝話が大変よくて、これだけで長編にして欲しかった。次の年が楽しみになるお話だなあ。 不思議ネタは、草野球の方が上手くハ…

宮島未奈「成瀬は天下を取りにいく」

頭がいいけど、ちょっと変わった発想と行動力を持つ成瀬に巻き込まれた人たちの連作短編。巻き込まれたという自ら関わったと言う方が正しいか。閉店するデパートに夏を捧げると言って、夏休み毎日デパートに通う姿とか、変な事するんだけど、成瀬が言うなら…

市川憂人「ヴァンプドッグは叫ばない」

マリア&漣シリーズ第五弾。逃げ出した連続殺人鬼ヴァンプドッグを追うお話。警察が包囲網を敷いてるにも関わらず事件が続くという混乱に、現金輸送襲撃団の事件が絡んできて、両方が見えてる読者からすると、面白いったらない。ちょっと都合よく行き過ぎな…

川瀬七緒「四日間家族」

自殺志願者四人が、山奥で捨てられていた赤ん坊を保護をしてしまったら、赤ん坊を捨てた連中から追い回されるお話。展開早いサスペンス。勢いが違う。 性格悪い四人だけど、赤ん坊のためにそれぞれの力を生かしていくというのは良かった。SNSの問題点も描か…

エル・コシマノ「サスペンス作家が人をうまく殺すには」

売れない作家が、ファミレスで編集者と次回作のプロットを練っていたら、それを聞いていたお客に殺し屋と勘違いされ夫殺しを依頼されて…… コメディちっくな始まりだけど、偶然というには踏み込んでるけど、危ない橋を渡っていたら、やってないことがやったこ…

かみはら「元転生令嬢と数奇な人生を1 私のいなかった世界」

「転生令嬢と数奇な人生を」の続編。 平和な雰囲気からの落差が激しい。愛する人をこう言う形で失くすのは、キツいなあ。わかっていても止められないやるせなさ。 とはいえ、本編と比べたら、まだマシなので、続きで甘やかしてほしい。 元転生令嬢と数奇な人…

今村昌弘「でいすべる」

学校新聞の記事にするため、町の七不思議を追ったら、殺人事件とリンクするジュブナイルなオカルトミステリー。 少年探偵団なノリで、事件の謎がつながるワクワクと怪異のドキドキの塩梅が見事。面白かった。 子どもの頃に読んだら、ミステリーとオカルトど…

トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー / ガブリエル・ゼヴィン

ゲームを通じて仲良くなった少年少女が大学で再開して、二人でゲーム制作するというお話。 面白い。ゲーム制作過程は、そこまで深く描くものではないけれど、二人でアイデアを出し合いながら煮詰めていく、合宿感みたいな、何かを取り戻すような青春模様が良…

卒業生には向かない真実 / ホリー・ジャクソン

三部作最終巻。読み始めから辛い。シリーズ一作目を読んだ時には、こんな気持ちになるとは思わなかった。ちょっとハラハラがある青春ミステリー(いわゆるYA)だったのに。これまで関わって解決した事件によって、ひたすらに追い詰められていく、自ら追い込ん…