大丈夫、積んでる

さうざんどますたーになれなくて

2016-01-01から1年間の記事一覧

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 / 秋田みやび

不幸体質の野崎芹が、ぼんくらな陰陽師・北御門皇臥に手を差し伸べられて、条件付きの嫁になるお話。 これは楽しいお話だった。いわゆる契約結婚だけど、旦那さんに大した能力がないことを知って、これでは家計がやばいってことで、旦那が断ろうとする依頼を…

賢者の弟子を名乗る賢者(1) / りゅうせんひろつぐ

VRMMOで老賢者として名をはせていた主人公が、ちょっとした悪戯心で姿を幼い少女に変えている最中に、ゲーム世界に飛ばされて……というお話。 実力は老賢者と同じなのに、少女姿のせいで信じてもらえないってところから、何か起きるのかと思ったけど、同じよ…

美しい距離 / 山崎ナオコーラ

死にゆく妻に寄り添う夫を描く物語。 これ難しいよなあ。 終わりを迎えることがわかっている状態で、どう接するか。勝手に相手の気持ちを推測して、それが実は相手のことを考えていないことに気付かされたり、あるいは好意で見舞いに来てくれた人の何気ない…

幸せ二世帯同居計画 妖精さんのお話 / 五十嵐雄策

ひょんなことから、クラスメイトと同居することになった兄妹が繰り広げるホームコメディ。 コメディではあるんだけど、同居にいたるまでの話とか、問題ありすぎて(普通に犯罪だし)引いちゃうところがあるので、うーん。 それぞれ過去がなかなかに重いので…

インスタント・マギ / 青木潤太朗

科学をもって一時的に「魔法」のような力を得ることができる「インスタント・マギ」を開発した科学者が、古より続く魔法使いたちに狙われることになるお話。 面白かったけど、グロいな、これ。 ただただ科学を追及しているだけなのに、それが魔法使いの逆鱗…

もう過去はいらない / ダニエル・フリードマン

「次におまえを見たら、殺すと言った」 「そのとおり。きょう来たのは礼儀としてなんだ。脅しを実行するつもりなら、早くしたほうがいいぞ」 「なぜだ?」「なぜなら、あんたが殺そうが殺すまいが、おれは四十八時間以内に死ぬからだ」 88歳の元殺人課刑事の…

青の数学(1)(2) / 王城夕紀

「私達は同じ数式を見ていても、それぞれ頭の中には違うものが描かれているんだろうね」 数学で競い合うネットサービス「E2」に、数学に魅せられた少年少女たちが挑むお話。 これは本当に面白かった。今年読んだ作品の中でベスト3に入る。 ただ数学の問題を…

最果てのパラディン(1)死者の街の少年 / 柳野かなた

骸骨剣士、神官ミイラ、幽霊魔法使いの愛情を受けたウィルは、かつての生を悔い、生まれ変わった世界で、懸命に生きることを決意したが……というお話。 これはとても良かった。 はじめは三人のアンデッドたちの様子に疑問を持ったけれど、次第に本当に親のよ…

その可能性はすでに考えた / 井上真偽

「それはつまり……何かあなたに嫌疑がかかるような殺人事件があって、でもあなたには罪を犯した自覚がない。それで、自分がほんとうに人を殺してしまったかどうかを、僕に推理してほしい、と」 「この世に奇蹟が存在する」ことを証明したい探偵が事件に挑むミ…

いまさら翼といわれても / 米澤穂信

古典部シリーズ第六弾の短編集。 日常の謎ものではあるんだけど、より高校生というか、進路のこととかこれから先を思う不安等を描くお話って感じだった。特に表題作の「いまさら翼といわれても」。たしかにタイトル通りで、なんとも言えない気持ちになる。に…

ひきこもり姫と腹黒王子 VS ヒミツの巫女と目の上のたんこぶ / 秋杜フユ

人々から忌み嫌われる魔術師の家系に生まれた少女ビオレッタ。引きこもり生活をしていたのに、光の巫女に選ばれてたことで、笑顔の恐ろしい王子・エミディオの傍にいることになってしまい……というお話。 さらっと読めるコメディが楽しい。光の巫女なのに、闇…

ソードアート・オンライン オルタナティブ クローバーズ・リグレット / 渡瀬 草一郎

和風VRMMO「アスカ・エンパイア」が舞台のSAOスピンオフ。とあるクエストのクリアを依頼してきたゲーム初心者の老人のために、探偵事務所まで案内した戦巫女のナユタと忍者のコヨミ、そして依頼を受けた探偵の四人で、クエストに挑むお話。 これは面白かった…

本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第三部「領主の養女II」/ 香月美夜

ここにきてまた常識のズレが見えてきた。異世界云々というよりも貴族の立場ってことかな。ただ、裏をかき、人を陥れなければならないというのは、平和な世界に生きてきたものにとっては重いよなあ。見過ごすことで、さらに被害が大きくなるとわかっていても…

薬屋のひとりごと(6) / 日向夏

ふたりの関係がどう進展するのかとワクワクしてたのに、まるで変ってない……むしろ、後から来たものに追い越されてるんですけど、どういうことですか。いや、馬閃さんは頑張ったし、不幸属性すぎる里樹だったから、うまくいくのはいいんだけどさー。にしても…

安達としまむら(7) / 入間人間

ついに、お付き合いが始まるお話……なんだけど、これまで以上に、すっごい不安定。 成就してしまったことで、これが壊れたらという不安が募っていく様が恐ろしい。これまでだったら普通にできていたことが、意識してしまうことで言えなくなる、または過剰に反…

ある小説家をめぐる一冊 / 栗原ちひろ

「田中くん、君、まさか、私を健康にしたいのか?」 これは面白かった。若き女流作家・些々浦空野と彼女の担当編集になった田中庸が遭遇する不思議な事件を描く物語。 怠惰な作家と勤勉な編集者というコンビのやり取りがとてもコミカル。はじめはファンタジ…

キミもまた、偽恋(オタク)だとしても。1(上)(下) / 渡辺恒彦

高校入学をきっかけに変わろうとした「隠れオタク」と「隠れ腐女子」が、それぞれの属性を秘密にしながら、お付き合いを始めるお話。 幾度となくお互いの秘密がバレそうになるけれど、ギリギリのところで回避するという展開が楽しくて楽しくて。 一般の人の…

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンXI / 宇野朴人

「わたしが言いたいのはね。正しさが見えない状況になったら、あなたは迷わず自分の気持ちに素直になりさないってこと」 誰もかれもが贖罪を求めているようで、自らを傷つけずにいられないところがやるせない。 そんな中、イクタが連れてきたヴァッキェが大…

弱キャラ友崎くん(Lv.1)(Lv.2) / 屋久ユウキ

とあるゲームだったら誰にも負けないという主人公が、人生をゲームとしてとらえれば攻略方法があるというヒロインの指導のもと、少しずつ脱オタしていくのが面白い。 攻略方法というのはいわゆる自己啓発なもので、当たり前のこともありますが、読んでて耳が…

GOSICK GREEN / 桜庭一樹

新大陸に来てからのお話は、とても賑やかだなあ。伝説の銀行強盗との対決やセントラルパークの地図の謎など、複数の依頼をうまい具合にまとめてくれてる。人々の様子とか、セントラルパークの風景とか、いろいろ描写が目に浮かぶのが印象的だった。 印象的と…

蜘蛛ですが、なにか?(4) / 馬場翁

ああ、ようやく違和感の元がはっきりした。やっぱりズレてたのか。年表をこのタイミングで持ってくるとか性格悪言ったらない……べ、別に騙されてないし。 強くなったら、その分強い敵と戦うのはわかるけれど、まさかラスボス的なマザーを相手取るとは思わなか…

ひきこもり神官と潔癖メイド 王弟殿下は花嫁をお探しです / 秋杜フユ

悪い人ではないけれど、天性の間の悪さと生真面目さによって面倒を起こす神官と、彼が引き起こす面倒をフォローするメイドのお話。 これは大変楽しい。というか、にやにやしっぱなしである。 実はシリーズものの続編らしいんだけど、舞台を同じにして主人公…

蜘蛛ですが、なにか?(3) / 馬場翁

女子高生が異世界に転生したら、蜘蛛になってたというお話の第三弾。 おお、ここにきて面白くなった。特にクラスメイト側というか勇者側。悪意が一気に燃え上がる様がやばい。ちょっと強力すぎるけど。できればもうちょっと策略を巡らせてくれれば、もっと面…

真実の10メートル手前 / 米澤穂信

記者・太刀洗万智シリーズ。六編からなる短編集。どれもこれも面白いけど、中でも表題作の「真実の10メートル手前」と「名を刻む死」が好きかな。 太刀洗が気にしていることが何なのかわからずに読み進めて、ふとそこに謎があったことに気付かされて、ああそ…

蜘蛛ですが、なにか?(2) / 馬場翁

女子高生が異世界に転生したら、蜘蛛になってたというお話の第二弾。 うーん、若干ワンパターンかなあ。バトルの連続にちょっと食傷気味。レベルやらスキルやらが上がりすぎるのも、ちょっとね。 こうなると蜘蛛側ではなく、同じく異世界転生してきたクラス…

パノラマ島美談 / 西尾維新

美学、美声、美食、美脚、美術と、それぞれ特徴を持つ「美少年探偵団」に、男装少女マユミが「美観」として加わって様々な事件を解決するミステリーシリーズ。今回は、無人島で転じられている見えない絵を探すお話。 合宿テンションでいつもと雰囲気違う語り…

蜘蛛ですが、なにか? / 馬場翁

女子高生が異世界に転生したら、蜘蛛になってたというお話。 面白かった。いわゆるゲームの中のように、レベルやスキルの概念がある異世界だったってことで、ゲーマーだった時の知識を生かして、モンスターだらけの中を生き延びていく展開が痛快。 ちょっと…

もう年はとれない / ダニエル・フリードマン

すっげー面白かった! かっけーじいちゃんだなあ。 刑事を辞めて三十数年の87歳のおじいちゃんが、かつて自分を痛めつけたナチス将校を追うお話なんですが、体力ないし、満足に動けないし、ちょっとこづいたら自分の体のほうが痛むのに、それでもかつてのタ…

花冠の王国の花嫌い姫(1)〜(3) / 長月遥

さりさんの感想を読んで手に取りました。 花粉症で苦しんでることを内緒にしてる大国の王女様が、貧しいけれど花粉のない国に嫁ぎに行くお話。えんため大賞奨励賞受賞作。 何が楽しいって、本人は何ら裏なく嫁ぎにきてるのに、大国が何の得もなく貧しい国と…

十二人の死にたい子どもたち / 冲方丁

安楽死を願う少年少女たち。「全員一致」を実行の条件として集まった場に、なぜか一体の死体が見つかって……というところから始まるミステリー。 死を願っているものの、なかなか「全員一致」にならないあたりは、何とも言えないもどかしさがある。なんでそん…