大丈夫、積んでる

さうざんどますたーになれなくて

サンドローネ・ダツィエーリ「パードレはそこにいる」

「あの子どもにどんな運命が待ち受けているか、わかりますか。一生とは言わないまでも、何年も囚われの身になるんです。精神的暴力、肉体的暴力。言われたとおりにできなかったり、逆らったりしたら、いつ殺されるかわからない」

「あなたと同じように、ですね?」

「そうです。ぼくと同じように」

めちゃくちゃ面白かった。

PTSDで休職中の警察官コロンバと、誘拐され11年監禁されていた過去を持つ失踪人捜索のエキスパート・ダンテのコンビが、子どもの失踪事件の調査に駆り出されるお話。

どちらも心に抱えてるものが大きすぎて、捜査どころか日常生活を送ることも難しいのに、そのふたりがコンビを組むんだから、うまくいくわけがない。序盤のすれ違いのじれったさといったら。でも次第にいいコンビになってくるんですよねぇ。

自分と同じ境遇の子どもが生まれてしまうかもしれないというダンテの考えは、過去に囚われすぎな気もしていたけど、犯人の示唆が絡み合ってくると、展開の不気味さにページを捲る手が止まらなくなる。  

それにしても、上下巻でこんなに話が変わりますかね。上巻は通常の捜査で、下巻は追い詰められていくサスペンス。

パードレ(父親)はいるのか。何を目的とするのか。話が大きくなりすぎて荒唐無稽にも思ってしまいますが、いろいろな形の「家族」の姿を見られてよかったです。

これは続編も読んでいこう。