大丈夫、積んでる

さうざんどますたーになれなくて

アレン・エスケンス「償いの雪が降る」

30年前、女児暴行殺人で終身刑となった老は、癌で余命わずかとなったため、介護施設に移された。大学の課題として、彼にインタビューするジョーは、老人の臨終の供述から事件に疑問を覚えて……と言うお話。

面白かった。

事件の関与を否定しながらも、判決には従った老人の真意が何なのか。調べていくうちに、そして臨終の供述として語られていく真意が、あまりにも重い。助けられなかった命というのは、ずっと心に残るんだろうなあ。

はじめはコンテンツとして老人を扱おうとする主人公に対しては、あまりいい印象がなかったけど、彼のおちゃらけた態度というのが、いわゆるヤングケアラーとしての苦悩の防御であることが見えてくると、印象が関わってくる。

自閉症の弟、やがて彼女となる隣の家のライラ、そして老人カールとの間に積み重ねていく信頼がとても良かった。老人が彼と出会えて良かった。

これは続きも読みたい。