「私は勝手に医者になり、勝手に恋をいたします。けして、誰かを救うためではございません。私がそうせずにはおられないから、勝手にやるのです!」
恵まれない生活から救ってくれた旦那様の病気を治すために、サトリと呼ばれるほどの観察眼を駆使して医師を目指す主人公・蒼を描くシリーズの第二弾。
天涯孤独で差別されながら生きてきた前作とはまったく違う。その反動たるやもう。
城ヶ崎家に嫁ぎ、夫婦となった二人は、お互いがお互いを思って動き、そしてそのことに感謝と感動を覚える。これは側で見る執事の微笑みが止まらなくなるわけですよ。旦那様こと宗一の心の声がだだ漏れで、読んでるこちらも困ります。ニヤニヤし過ぎて。
今回は、吸血鬼騒動に始まり、温泉旅行でほんわかしたと思ったら、蒼の両親に関する事実が見えたりと盛り沢山。どの謎も真実の苦さが痛い。でもその苦さに立ち向かう蒼の覚悟が素晴らしかった。そうですね、今は城ヶ崎蒼ですもんね。
あとがきでボーナストラックと書いてましたけど、これは続けてほしいなあ。