大丈夫、積んでる

さうざんどますたーになれなくて

ヒロインな妹、悪役令嬢な私(1)(2)(3) / 佐藤真登

乙女ゲーム転生もの。ゲーム内では、義理の妹をいじめる姉の役割だったけれど、実際に会ったらあまりに可愛いので、猫かわいがりしてしまう伯爵令嬢クリスのお話。全三巻 。

妹の幸せのためならばと突っ走るクリスの姿が、かわいく楽しい。天才と自称しながら(前世の記憶があるからそりゃね)、結構ぬけてるのが愛嬌だよなあ。

妹の幸せのために悪役令嬢になろうとしてるのに、本人が意識しているほど高飛車になっておらず、むしろ愛されキャラになっていることに気づいてないあたりが楽しい。

クリスの前ではみんないい子を装いつつ、彼女の気を引こうとする婚約者と妹の争いとかも楽しいけれど、高飛車な彼女を厳しくしつける家庭教師がまたよい味を出してました。厳しけれど、見守る視線がやさしい。この人のおかげで、クリスは道を誤らずに済んだといっても過言ではない。

ちょっとシリアスなところもあったけれど、それも含めて面白かったです。幼い恋の距離のつめ方も素敵だった。おすすめ。

ヒロインな妹、悪役令嬢な私 (PASH!ブックス)

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ヒロインな妹、悪役令嬢な私 2 (PASH!ブックス)

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ヒロインな妹、悪役令嬢な私 3 (PASH!ブックス)

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聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた / 井上真偽

奇跡の存在を証明したい探偵が事件に挑むミステリーの第二弾は、結婚式の三々九度的なもので、回し飲みした八人のうち、三人が毒殺されたという事件に挑むお話。

探偵役がなかなか登場せず、その弟子ががんばってたんだけど詰めが甘いせいで、裏社会的な人が、容疑者全員殺そうとするから、早く探偵さんきてー!というサスペンス(?)な展開でしたが、そんなことはどうでもよくて、今回何が面白いかって、犯人が分かっている状態で、探偵がどういう謎解きをするかってことですよ。

普通に謎を解くのか、それとも犯人をかばうのか。語り手が犯人なので、そのドキドキ感がたまらない(いろんな意味でドキドキしちゃう)。

相変わらずの仮説と反証の繰り返しは、個人的に大満足。もっとあってもいいぐらい。

聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)

聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)

 

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アクセル・ワールド(16) 白雪姫の微睡 / 川原礫

ついに僕の中のヒロインランキングトップが、黒雪姫からエネミーのメタトロンに変わりましたというお話……じゃなくて、ISSキットに関するお話が一区切り。

長かったけど、面白かったなあ。一気読みじゃなかったら、待ち時間にイライラしたかもしれないけど。

ブレインバーストに関して、新たな世界が見えてきたのは、ちょっと広げすぎじゃないかと思ってしまうのは、BB世界の話すらまだ描かれてないことが多いように思うからでしょうか(そういえば領土戦とかあまり描かれないよね)。

ここでさらに、遠い先のほうを明示してきて、そこまで行くとなるとあと何十巻費やすことになるのか。白の王がついに登場しましたが、どこまで知ってるんだろう。何を目的にしているのかも気になる。

そもそも、一区切りついたとはいえ、加速研究会とはまだぜんぜん決着がついていないので、まずはそこかな。

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花を追え 仕立屋・琥珀と着物の迷宮 / 春坂咲月

着物にまつわる日常の謎と、幻の古裂を追うお話。

着物のうんちくがわかりやすく語られて、これがまた面白い。粋とか遊びとか、考え方が素敵だよなあ。教養がないと気づけないところも小憎らしい。

シュシュの呪いや着物をきるとドロボウになるという話など、現象だけだと何が何だかさっぱりなんだけど、模様や形の意味から、実は……という謎解きは、知識がないと解きようがないので、へーそうなんだーって感心する感じ。おもしろいけど。

次第に謎解きからちょっとサスペンスめいた話になっていくんだけど、語り手の女子高生を守ろうとする探偵役が、なんかなあ。彼女とかかわらないと恰好いいんだけど、彼女のことになると変に粘着というか、ストーカーチちっくというか。

そもそもなぜ彼女のことが好きなのかが見えないし、彼女も彼のことが次第に気になるんだけど、そのきっかけがなかったから、うーん?ってなる。

この二人の関係がずっとひっかかって、素直に楽しめなかったのが残念かな。

花を追え――仕立屋・琥珀と着物の迷宮 (ハヤカワ文庫JA)

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クローバーナイト / 辻村深月

ママ友の孤立や保育園に入るためのホカツ、お受験と誕生日会などなど、二人の子を育てる夫婦と、その周りの人たちが遭遇する、どこにでもある問題を描く物語。

いわゆる最近の子育て事情なわけですが、共働きの夫婦の子が保育園に入るのが大変っていうのは聞いてたけど、これほどのものだとは思わなかったし、お受験にしろ誕生日会にしろ、子供のためを思ってのことなのに、なんでこんなに苦しくなってしまうのか。

正しいことをしても達成できるとは限らない。正解があるものではないからこそ不安になり、外部からするとそんなバカなと思うようなことでも、すがりたくなるその心理が、わかりすぎて重かったい。

「普通」であることが高望みに感じられるわけだけど、それでも、子供がいる幸せっていうのも伝わってくるので、頑張ってって思う。

クローバーナイト

クローバーナイト

 

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アクセル・ワールド(15) 終わりと始まり / 川原礫

ハルの周りにいるヒロインズの中では、黒雪姫が一番好きなんですが、ここにきて対抗馬が現れました。いやしかしまさかエネミーがこんな素敵なツンデレさんだとは……恐るべし。

というわけで(どんなわけだ)、エネミーっていうか、まあそんな感じのものに力を貸してもらって、ようやく、ようやく、守ると決めた人に手が届きました。遠かったなあ。

この届きそうで届かないところが、ほんともどかしかった。届いてよかった。

ただ、一筋縄ではいかないのが、加速研究会なんですが。

ハルだけでなく、黒雪姫方面でも大きな動きがあり、初代赤の王の話がISSキットにどうつながるのかと思ったら……こういう形で災禍再びにするとは。

ちょっと敵側の能力が都合よすぎる気がしないでもないけど、それはそれ。

これまでそここに出てきてた情報がいろいろ繋がってきて、おおおっと思ったところで続く。

そろそろ決着つけてくれませんかね。

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明治断頭台 山田風太郎ベストコレクション / 山田風太郎

明治時代、役人の不正をあばく大巡察の二人が、奇妙な謎に遭遇する連作ミステリー。

これは面白かった。

やや作りこみの甘い謎だけど、時代を意識するならば、こんな感じなのかなあなんて読んでたのが甘かった(だって解決編が読みづらいんだもん)。最後にこんな展開が待ち受けているとは……いや、違和感あったけどさーと言い訳したくなるぐらい、しっかり騙されました。ちくしょう。

謎ものとしてだけでなく、時代物としても面白くて、さりげなく出てくる史実を絡めたネタがたまらない。たぶん僕が気づいてないようなネタもあるんだろなあ。うんちく的なエピソードも楽しい。

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