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大丈夫、積んでる

さうざんどますたーになれなくて

おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱 / オキシタケヒコ

これは良いボーイ・ミーツ・ガールなホラーだった。

山中の屋敷に住む下半身不随の女の子と、そんな少女にひかれる少年のお話なんだけど、怖がりなくせに彼女が求めるからと怖い話を収集しては週に一度の逢瀬で披露していく様は、不器用さにほほえましさを感じつつ、次第に怖い話に恐怖を覚える少年の気持ちにゾワゾワしてくる。

ほんの些細な不安なんだけど、それを存分に膨らませていくから、ちょっと想像過多になると、こっちまで不安になる。

そんな怪異に対して、実は合理的に説明ができるんだよ、みたいなお話になったかと思ったら、さらに急展開していって、ホラーからミステリーに、そしてSF?みたいな怒涛の展開に、いったいどうなっちゃうんだろうと思ったけど、最後はいい感じに青春してて、とてもよい読後感でした。

これ続編出してほしいなあ。

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血涙 新楊家将 (上)(下) / 北方謙三

先日読んだ楊家将の続編。なんでこんなタイトルなんだろうと思ってたけど、そりゃこうなるわ。この戦いには、血の涙を流さずにいられない。何がって、楊家の者同士で戦うことになるんですから。

遼との戦いで楊業を失い、生き残った六郎と七郎が壊滅状態の楊家を復興すべく動いた先に待っているのが、記憶を失い、遼の将となった石幻果こと四郎なんだから、もうね。

いや、個人的には、四郎が生きていてくれたことはうれしかったんですよ。瓊峨姫とのロマンスは、前作から気になってたから、次第に力をつけて立場を確保し、彼女と結ばれていく様とか、大変良かったし。

気づけば、耶律休哥との間に生まれる親子のような絆も素晴らしかった。

そう、今回はどちらかと言ったら、遼側というか、耶律休哥と石幻果(四郎)のお話だったんだよなあ。 でも同時に楊家のお話で。

精鋭たる耶律休哥の軍と戦えるとしたら楊家しかおらず、それはつまり六郎たちと四郎がぶつかり合うことになるわけで、それぞれがお互いの存在に気付き、それでも戦うことを止められないとか、ほんとに……もういっそ楊家は、遼へ行っちゃえばいいのにと思わずにいられない。

そのことは、最後にまた思ったなあ。宋のために戦い続けていたのに、後方のものに足を引っ張られて、裏切者扱いされた挙句、死に兵として戦場へ向かわされる。宋の思惑をわかっていながら、戦いに散っていく姿にもまた涙を流さずにいられなかった。

ただ、読後感がよかったのは、その後の話も読めたからかな。戦い、ぶつかり合い、殺しあったことで、いうなれば仇となった者同士が、決して恨むことなく向かい合うことができたのは、大切な人への思いを抱く者同士だからかな。

最後まで一気読みの面白さでした。

血涙(上) (PHP文庫)

血涙(上) (PHP文庫)

 

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血涙(下) (PHP文庫)

血涙(下) (PHP文庫)

 

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異世界詐欺師のなんちゃって経営術(4) / 宮地拓海

やっぱいいよなあ。悪ぶってるくせに実は……っていうお話は。

不作を理由に物価を上げようとする行商ギルドに対抗すべく動くために、わざわざこれはまわりまわって自分の利益になるからと、自分に対して理由付けをして動く主人公の意地っ張りぐあいに、ニヤッとなる。素直になっちゃえばいいのに。

はじめのころはともかく、今となっては周囲の人も主人公の偽悪さに気づいてるから、頼りにするし、助けにもいくんだよなあ。

主人公を中心に四十二区がまとまって、悪役を倒すという展開は、たいへん痛快でした。

Web版既読者としては、ジネットとの関係についても、ふふふとなったし、よかったよかった。

できれば、もっと先のお話も読みたかったなあ。これで終わりってのが残念でならない。

異世界詐欺師のなんちゃって経営術4 (角川スニーカー文庫)

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カブキブ!(5) / 榎田ユウリ

いいなあ。クロのまっすぐな熱意は。本当に好きなものだから、周りの人も引っ張られていくんだろうなあ。

三年生の最後の舞台に向けての夏合宿で、舞台慣れしてない一年生を鍛えあげるってお話なんだけど、どう弱点を直すのはどうしたって難しいし、指摘されたら意地になっちゃうしで、なかなか進まないんだけど、クロが言い出したら、そのまっすぐな視線に嘘がないことがわかるから、素直に頷いちゃうんですよね。

ほんと部活仲間って感じの人間関係が良いものだった。演劇部が大変なことになってるから、なおさらそう感じるのかも。

ま、クロの行動にはいろいろ穴があるので、それをサポートする人がいるってのも大きいけど。

にしても最後いい感じにひっぱりましたね。芳先輩が与えられた役をどう演じるのか楽しみでならない。

カブキブ! 5 (角川文庫)

カブキブ! 5 (角川文庫)

 

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スカル・ブレーカ / 森博嗣

相変わらず面白い。

これまでうっすらと見えていたゼンの素性が、唐突に明かされてびっくり。内容じゃなくて、こんなあっさりと明かされたことに対してですが。情というものに重きを置いていない彼だけど、少しずつ変わってきてて、特に師がなくなったことに対して悼む感情を覚え始めたところに、なんかグッとなった。

そういえば、今回はこれまで以上に戦わない話だったなあ。いや戦うんだけど、戦うことのむずかしさを改めて知るというか、刀を抜かない判断のむずかしさと言ったらない。ほんと「強さ」ってなんだろう。答えの出ない問いだけど、それを様々な角度から考え続けていく様が面白かった。

ノギとの会話が大変おしゃれでにやにやしちゃいますが、ヤナギとの交流もよいものがありました。強者は変人ばっかりだ。

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楊家将(上)(下) / 北方謙三

めちゃめちゃ面白かった! いやあ、楊家は強い。

10世紀末の中国で、楊家が仕える宋と、宋の領土を狙う遼の戦いを描くお話なんですが、帝への忠心をもって敵と戦う軍人として、これほどまでに頼りになる人はいなくて、主たる楊業のみならず、七人の息子たちそれぞれが得意分野を持つ強さがあるから、楊家がいれば大丈夫って思えたけど、軍人であることにこだわりすぎたのがいけないのか……強すぎるがゆえに警戒されて味方に足を引っ張られたりするのがやるせない。

それでも初めに仕えていた北漢に比べれば、宋の帝は名君だと思うけど、悲願ってものがあると視野が狭くなるんだなあ。

宋側では楊家が際立っていたけれど、遼側にも名将がそろってて、だからこそぶつかり合った時の戦いが見ごたえあった。いくら楊家が強くとも、宋の軍を率いているわけではないため、どうしたって動くに動けないことがあり、ゆえにいい勝負になったりするんだよなあ。

だからこそ、どんなピンチになっても楊業がいれば、という思ったわけだけど、次第に悪い予感がしていき、それが当たり始めると……胸が痛いったらない。マジつらい。

それでも最後まで軍人としての生きざまを見せる楊家が、本当に熱かった。いいもの読んだ。

楊家将〈上〉 (PHP文庫)

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楊家将〈下〉 (PHP文庫)

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ビブリア古書堂の事件手帖(7) / 三上延 

面白かったなあ。

今回は、シェイクスピアの古書にまつわるお話でしたが、なんとなくしか知らなかったけど、なんとなく知っている分、栞子さんの説明が興味深く思える。

いつも思うけど、このシリーズで紹介される本を読みたくなりますね。その時代ならではの製本方法とかも面白い。

それにしても、今回の取引相手の意地の悪さと言ったらないなあ。ま、それだけに最後こらしめられて、ふふふと思うわけですが。

栞子と大輔の、それぞれの家族に関するお話が出てきたのは、ふたりの関係がより近いものになったからなんでしょうね。踏み出すためのきっかけとなり、迷うことはあったけれど、うまいこと言ってよかった。

シリーズとしては終わりのようですが、後日談がでるようなので、楽しみにしてます。

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