大丈夫、積んでる

さうざんどますたーになれなくて

加藤シゲアキ「なれのはて」

たった一枚の絵の展覧会をしたい。が、画家の素性がわからない。展覧会の許可を得るために、正体不明な画家の素性を調べるお話。
面白い。文章の硬さが、左遷された主人公の正義感とよく合っている。青臭いまでの理想と、正義が執行されることの影響の問題点というバランスの難しさがよく伝わる。
ひとつの手がかりから、別の手がかりへと、画家の素性を追う展開は、刑事ものの犯人を追うみたいようで面白く、それでいて最後まで謎めいているので飽きさせない。
現在と過去の振り返りが、入れ替わり立ち替わりなので、ここはもう少し整理してくれたらと思ったけど、家族とは何か、正義とは何かを考えさせられながら、最後まで上手くまとまったお話でした。

最後は出来過ぎだとは思うけどね!