大丈夫、積んでる

さうざんどますたーになれなくて

河﨑秋子「ともぐい」

時は明治。山に籠り、獲物を撃ち、町に下りて仕留めた獲物を売る。そんな無骨な男を描くお話。

街の人の親切な言葉は生き方の違いから響かない、でも町がないと生きていけない。息が詰まるお話だ。

獲物を追う緊張感は、気持ちのいい張り詰め方なのに、これからの生き方を考えると急にドロっと重いものがお腹の中に溜まる感じがして、気持ち悪くなる。

何者にもなれないなんてことは誰しも考えるだろうけど、狭い世界でしか生きてないと、余計に思ってしまうのかも。

最後の方は蛇足感があったけど、自分のやってきたことが、ぐるっと回ってくる感じは良かった。