大丈夫、積んでる

さうざんどますたーになれなくて

腐男子先生!!!!! / 瀧ことは

イケメンと評判の担任が、実は自分のBLサークルのファンだっという腐男子先生とのオタクトークブコメ

「神かよ」「それな!」とテンポよく繰り広げられる会話が、めちゃめちゃ楽しい。普段はクールなのに、語り手の女子高生揚羽といる時のテンションの高さといったら、もう!あるあるネタやら、実際に仲間内で繰り広げられてるような会話に、ニヤニヤしちゃう。

お互い周りにはオタク活動を隠しているからこその秘密の共有ってのが、さらにニヤニヤに拍車をかけてくれて、ああ楽しい。

オタク活動で、大人の財力を見せつける(課金ができる喜び!)先生には大人気なさを感じつつも、楽しいことに対して突っ走るのに、年齢なんてものは関係ないわけで。

むしろ大人になるとで、選択肢が増えるってのは良いことなんだと語り手の女子高生揚羽に伝わっていくところは、ある意味教育者として良いことじゃないでしょうか。いろいろ残念なところも多いのでアレですが。

先生と生徒とはいえ、これだけ仲が良いならば……って思っちゃうわけですが、むろん二人とも意識してるんだけど、いい雰囲気になりそうになると、オタクトークが爆発して、進まないというのが、またにやにやしてしまいますね。

このあともなかなか進まない気がするけど、それもまた良し。

腐男子先生!!!!! (ビーズログ文庫アリス)

腐男子先生!!!!! (ビーズログ文庫アリス)

 

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あとは野となれ大和撫子 / 宮内悠介

これ最っ高だった!

沙漠の小国の大統領が暗殺され、議員は逃げ、外圧が強まる混乱の中、残された後宮の少女たちが、臨時政府を立ち上げて、国家をやってみるお話。

後宮といってもそういうものではなく、身寄りのなくなった子供たちの教育場だったので、少女といっても侮れないわけですが、とはいえやはり人生経験はなく、大人の庇護がなくなって初めてわかる外国勢力の圧力に、どうにもこうにも動けなくなったりするんだけど、思考錯誤して、振り回されて、時に子供っぽく爆発して。

シリアスだけど、シリアスすぎず、傀儡政権としようとする大人が思わず動かされてしまうところとか、文化とか人種とかばらばらな人たちがまとまっていくところとか、にやっとしてじんわりして、気づいたら深入りしてました。

あとは野となれっていう思い切りが、たまらなく痛快なエンタメでした。

すっごいよかったおもしろかった。

あとは野となれ大和撫子

あとは野となれ大和撫子

 

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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(12) / 大森藤ノ

ギルドからの依頼でダンジョン探索するお話。

ダンジョン探索は久しぶりな気がしますが、やっぱり面白いなあ。

ファミリアとしての成長もあり、安定感があるから、冒険でわくわくするし、それでも初めての「下層」ではドキドキするしで、あっという間に引き込まれる。

今回の冒険では、特にベル君が素敵だった。今までにない落ち着きを見せて、男の子から男の人へ成長していく姿は、恰好いいったらない。そりゃ、いろんな人からよりいっそうの好意を寄せられるようになるわけだ。

ただ、成長したのはベルだけでないってのもポイント高い。それぞれが自分のできることを考えて、特に力がなくともファミリアのためにと頑張るリリが素晴らしい。頼れる存在になってくれてうれしいよ。

ダンジョン内では、強化種が進化しはじめて、冒険者を苦しめてきますが、それを打ち破るベルの活躍が、熱くてたまらない。どこまで強くなるんだろう。思わず興奮ですよ。

最後まで面白かったけど、終わりが思いっきり不穏だなあ……

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宝石商リチャード氏の謎鑑定 導きのラピスラズリ / 辻村七子

姿を消してしまったリチャードを追いかけるお話。 

正義は情に厚いかもしれないけれど、べたっとした感じではないと思っていたので、リチャードのことを考え続けていく姿には違和感だらけ。こんなBLだったっけ?みたいな。 

もしかしてこれは恋なのかと自問するようになるほどだったから、あれれと思ったけど、後々に生い立ちが絡んでくるところで納得。なるほどそれはたしかに正義が、混乱して暴走するわけだ。 

リチャードがいなくなったことによる正義の感情の揺れ幅は、かなりの大きさがあったけれど、その混乱の原因を気づかせてくれた人がそばにいるってところに、正義の人間関係の良さがあるよなあ。 

リチャードのお師匠さんの性格の良さ(悪さ?)やら、家族の話など、これまで明らかになってなかった過去の因縁は、なんだか時代錯誤ではあるけれど、リチャードならしょうがないと思ってしまう僕がいる。 

思いをきめたら、一直線な正義が、リチャードのために動くことで、リチャードもまた過去の因縁にたいする諦めとか逃避とか、そういう気持ちから離れることになったのはよかった。 

やっぱりこの二人はこの距離感でいるのが素敵なんですよね。 

宝石の絡め方も面白かったし、最後まで楽しかった。 

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WORLD END ECONOMiCA(3) / 支倉凍砂

前作からさらに四年。月面の英雄となったが、いまだハガナを忘れられないハルが、さらなる賭けに出たが因縁の男が立ちはだかり……といシリーズ最終巻。

サブプライムリーマンショックってこういうことだったんだ。いやはや、そりゃやられてしまうわ。ほんとうに失敗が見えない錬金術としか思えないんですもん。

ハルの視点で見てるから、漠然とした不安を感じるけれど、同じ世界に立ってたら、なんとなく投資しちゃうんだろうなあ。こわいこわい。

慎重に見極めができるようになったところに、ハルの成長を感じましたが、でも根っこの部分は変わっていないってのが面白いよなあ。その強さと、その弱さと、ね。

ハガナのことを思いながらも、再会しても踏み込めず、じりじりとじれったいばかりでしたが、一度壁が取れてからの二人は、大変にやにやでした。

どこもかしこも急上昇急降下なお話で、ドキドキが止まらなかったですが、因縁の相手との対決は意外な転がり方をして、これがまた面白かった。

やっぱ物語は、ハッピーエンドがいいね。

WORLD END ECONOMiCA (3) (電撃文庫)
 

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水滸伝(1)-(5) / 北方謙三

北方水滸伝を読み始めたのは、楊家将が面白かったからなんですが、これがまた面白い。

全19巻をのんびり読んでいこうと思ったけど、五巻目にして止まらなくなってきた。

12世紀の中国、宋が舞台。役人の権力が大きく、その腐敗により苦しんでいる民のために、立ち上がった人たちが、梁山泊という山寨に集い、官僚に戦いを挑むというお話。

二巻ぐらいまでは、役人の目を盗みながら少しずつ叛徒が集まっていく様が面白いんだけど、戦力が集まり始めると、そりゃ国に目をつけられることになるわけで、万を超える軍を相手に、千人ぐらいじゃどうにもならない。

ただ、国も一枚岩ではないし、軍人も精鋭からそうじゃない人までいるから、梁山泊側の不利はあれど、いい感じに勝負になるから面白い。

どうしたって、梁山泊を応援したくなるんだけど、官僚側にいる人の苦労も見えてくると、策略で梁山泊を追い詰めようとする動きが気になって……大きな組織のほうが暗殺という手段を考えるとか面白いけど、出番の多い主要人物の死は、ショックが大きすぎる。

五巻では、まだ梁山泊は小さな叛徒だけど、ここからどう大きくなっていくのか楽しみ。

水滸伝 1 曙光の章 (集英社文庫 き 3-44)

水滸伝 1 曙光の章 (集英社文庫 き 3-44)

 
水滸伝 2 替天の章 (集英社文庫)

水滸伝 2 替天の章 (集英社文庫)

 
水滸伝 3 輪舞の章 (集英社文庫)

水滸伝 3 輪舞の章 (集英社文庫)

 
水滸伝 4 道蛇の章 (集英社文庫 き 3-47)

水滸伝 4 道蛇の章 (集英社文庫 き 3-47)

 
水滸伝 5 玄武の章 (集英社文庫 き 3-48)

水滸伝 5 玄武の章 (集英社文庫 き 3-48)

 

紺碧の果てを見よ / 須賀しのぶ

面白かったなー。

関東大震災から戦後までのお話だけど、決して劇場的なものではなく、海と艦にあこがれた少年の成長を淡々と(というと語弊があるけど)描き、そこでの出会いや別れ、妻や妹といった家族への思いなどに、胸が熱くなる。

特になあ、学校時代のお話はなあ。仲間とともに厳しい訓練に耐えながら、まだ戦時ではないから、未来への希望があふれていて、まぶしい青春時代が素敵で。

大人になるにつれて現実が見えてきて、最前線の者からすると、日本がどんどんと苦しい立場になることを目の当たりにして。散ることは美徳ではないけれど、それでも誇りをもって戦った人たちの思いにたまらなくなる。

また「紺碧の果てを見よ」という言葉が素晴らしかった。はじめは、かっこいい言葉だなあなんて思ったけれど、再び目にしたときには様々な思いがよぎり、そして最後に放たれたとき、涙がじんわりでした。

切ないけれど、決して重いだけじゃないお話が、素晴らしかったです。

やっぱこの人の書くお話は好きだ。

紺碧の果てを見よ

紺碧の果てを見よ

 

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