ミステリ愛好会の二人と探偵の実績を持つ女子大生が、映画研究部の合宿に参加したら、そこで連続殺人が……というお話。第27回鮎川哲也賞受賞作。
これは面白かった。
ちょっと郊外のペンションとか、なかなかに事件が起きそうなシチュエーションで、そりゃミステリ愛好会なら合宿に参加したくなるのはわかるけれど、まさか陸続きなのに、クローズドサークルが成立するとは思わなかった。そんな手が!と驚き。
死ぬかもしれない状況であえて殺人を犯すのはなぜかという、ホワイダニットに重きを置いた謎解きは、ああなるほどと納得するものがあって(特にエレベータが)、面白かったなあ。
欲を言うならば、死と隣り合わせという状況だけど、探偵や語り手たるワトソン役だけじゃなく、皆が割と事件に対して冷静に動いてるので、そこまで緊張感はないのがちょっともったいないけど、ミステリ展開としては落ち着いてるほうが好きなので、バランスってのは難しいなと思う。
いやでも面白かったので、これはぜひシリーズ化してほしい。