大丈夫、積んでる

さうざんどますたーになれなくて

紺碧の果てを見よ / 須賀しのぶ

面白かったなー。

関東大震災から戦後までのお話だけど、決して劇場的なものではなく、海と艦にあこがれた少年の成長を淡々と(というと語弊があるけど)描き、そこでの出会いや別れ、妻や妹といった家族への思いなどに、胸が熱くなる。

特になあ、学校時代のお話はなあ。仲間とともに厳しい訓練に耐えながら、まだ戦時ではないから、未来への希望があふれていて、まぶしい青春時代が素敵で。

大人になるにつれて現実が見えてきて、最前線の者からすると、日本がどんどんと苦しい立場になることを目の当たりにして。散ることは美徳ではないけれど、それでも誇りをもって戦った人たちの思いにたまらなくなる。

また「紺碧の果てを見よ」という言葉が素晴らしかった。はじめは、かっこいい言葉だなあなんて思ったけれど、再び目にしたときには様々な思いがよぎり、そして最後に放たれたとき、涙がじんわりでした。

切ないけれど、決して重いだけじゃないお話が、素晴らしかったです。

やっぱこの人の書くお話は好きだ。

紺碧の果てを見よ

紺碧の果てを見よ

 

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