「なんで助けを求めなかった」
「多分――」「要らない、と言われたくないから、だろうな」
エンジニア誘拐事件の調査に、かつてサイバー犯罪で冤罪となったハッカーに協力を求めるお話。
めちゃめちゃ面白かった。SNSやGPS・監視カメラ等、日々利用しているものがデータ化されているということが、どういうことにつながるのか。
ちょっとだけセキュリティ的なことをかじってるおかげで、ああこれはたしかにヤバいってのがリアルに感じられる。もはやすぐそこにある危険だよなあ。特に権力を持つものが、データを手にしたら……おお怖い。
協力者ではあるけれど、容疑者でもあるハッカーと共にする捜査は、いろいろとギリギリのところを綱渡りしている状態に思えて、ページをめくる手が止まらなかった。でも気づいたら、このハッカーのことを信じられるようになってきてるから面白い。ハッカーに不利な状況になったら、何やってんだ!と思いましたもん。
最後には思わずほろりと来てしまうのは、なんというか、同じ捜査をした「仲間」というよりかは「戦友」だからかな。いやあ、いいサスペンスだった。
それにしても、ITの現場の人って、やっぱり大変だなー。下請けとかほんとうに……そりゃつぶれるわ。