年に一回は読んでる大好きなシリーズです。
孤児の少女が、大人二人に担ぎ上げられて、偽りの姫を演じながら世界を見るお話……と書くと悪い大人にだまされた少女のお話のように思えるけど、実際には悪い大人というよりかは成長した悪ガキみたいな感じ。
自分たちが楽しいと、面白いと思えることのために動きつつ、お互いをちゃんと尊重してるので、知らないところでいろいろ動いているのを知っても、しょうがいなあって思える距離感が素敵。主従というよりかは家族に近いかな。いや、やっぱり仲間というのがしっくりくる。
少女の視点で語られる物語は、世界を見たいという好奇心と物事に対する素直さによって、とても透明感のある雰囲気で、それがまた心地いい。
各都市で担ぎ上げられている姫君たちが、それぞれ正当性を主張するという世の中は、いうなれば戦国時代なんだけれど、血生臭さがないのは、姫君たちの視点で語られるからだと思う。
七番目の姫君は、一番年下で、世界を知らないから、てくてくと周りを見ては取り込んで、ゆっくりゆっくり咀嚼していく。そんな彼女の姿が微笑ましく、同時にその素直さが憧れが、どこまで世界を広げていくのか危うさを感じる時もある。これは、七姫を担ぎ上げている大人二人も別の意味でそうだけど。
平和の象徴である姫君を担ぎ上げるために、それぞれの都市が本音を隠して建前で動くために、大都市ほど軽々しく動けない状況が、七姫側を勢いづけていくという勢力図も、面白さの一環でした。
最後まで七姫が七姫でいてくれたことがうれしかった。
電子書籍版の最終巻には、おまけとして七姫のそばについていた衣装役さんのお話がありました。この人、登場人物の中でもトップクラスに大好きだったので、よかったなあ。もしかしたら、次は七姫が同じような……なんて想像しちゃいましたね。