大丈夫、積んでる

さうざんどますたーになれなくて

フレディみかこ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」

様々な人種が集い、見えない階級があるイギリス。そんなイギリスで子育てしている著者フレディみかこが、元底辺中学校に通う子どもと共に、差別やいじめなどに悩みながら乗り越えるエッセイ。というかノンフィクションかな。 子どもは身近な大人の言動をみて…

井上真偽「アリアドネの声」

震災により地下に取り残された女性を助けるため、ドローンで探索することになったが、その女性は見えない聞こえない話せない。どうやって誘導するか、と言うお話。時間との戦い、優先順位の問題、一歩間違えたら終わるという緊張感。無理じゃないと言い続け…

加藤シゲアキ「なれのはて」

たった一枚の絵の展覧会をしたい。が、画家の素性がわからない。展覧会の許可を得るために、正体不明な画家の素性を調べるお話。面白い。文章の硬さが、左遷された主人公の正義感とよく合っている。青臭いまでの理想と、正義が執行されることの影響の問題点…

河﨑秋子「ともぐい」

時は明治。山に籠り、獲物を撃ち、町に下りて仕留めた獲物を売る。そんな無骨な男を描くお話。 街の人の親切な言葉は生き方の違いから響かない、でも町がないと生きていけない。息が詰まるお話だ。 獲物を追う緊張感は、気持ちのいい張り詰め方なのに、これ…

万城目学「八月の御所グラウンド」

中編二篇。高校女子駅伝で、前日にエントリー変更で選手に選ばれた一年生のお話と、お盆期間中に行われる大人たちの草野球話。 駅伝話が大変よくて、これだけで長編にして欲しかった。次の年が楽しみになるお話だなあ。 不思議ネタは、草野球の方が上手くハ…

宮島未奈「成瀬は天下を取りにいく」

頭がいいけど、ちょっと変わった発想と行動力を持つ成瀬に巻き込まれた人たちの連作短編。巻き込まれたという自ら関わったと言う方が正しいか。閉店するデパートに夏を捧げると言って、夏休み毎日デパートに通う姿とか、変な事するんだけど、成瀬が言うなら…

市川憂人「ヴァンプドッグは叫ばない」

マリア&漣シリーズ第五弾。逃げ出した連続殺人鬼ヴァンプドッグを追うお話。警察が包囲網を敷いてるにも関わらず事件が続くという混乱に、現金輸送襲撃団の事件が絡んできて、両方が見えてる読者からすると、面白いったらない。ちょっと都合よく行き過ぎな…

川瀬七緒「四日間家族」

自殺志願者四人が、山奥で捨てられていた赤ん坊を保護をしてしまったら、赤ん坊を捨てた連中から追い回されるお話。展開早いサスペンス。勢いが違う。 性格悪い四人だけど、赤ん坊のためにそれぞれの力を生かしていくというのは良かった。SNSの問題点も描か…

エル・コシマノ「サスペンス作家が人をうまく殺すには」

売れない作家が、ファミレスで編集者と次回作のプロットを練っていたら、それを聞いていたお客に殺し屋と勘違いされ夫殺しを依頼されて…… コメディちっくな始まりだけど、偶然というには踏み込んでるけど、危ない橋を渡っていたら、やってないことがやったこ…

かみはら「元転生令嬢と数奇な人生を1 私のいなかった世界」

「転生令嬢と数奇な人生を」の続編。 平和な雰囲気からの落差が激しい。愛する人をこう言う形で失くすのは、キツいなあ。わかっていても止められないやるせなさ。 とはいえ、本編と比べたら、まだマシなので、続きで甘やかしてほしい。 元転生令嬢と数奇な人…

今村昌弘「でいすべる」

学校新聞の記事にするため、町の七不思議を追ったら、殺人事件とリンクするジュブナイルなオカルトミステリー。 少年探偵団なノリで、事件の謎がつながるワクワクと怪異のドキドキの塩梅が見事。面白かった。 子どもの頃に読んだら、ミステリーとオカルトど…

トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー / ガブリエル・ゼヴィン

ゲームを通じて仲良くなった少年少女が大学で再開して、二人でゲーム制作するというお話。 面白い。ゲーム制作過程は、そこまで深く描くものではないけれど、二人でアイデアを出し合いながら煮詰めていく、合宿感みたいな、何かを取り戻すような青春模様が良…

卒業生には向かない真実 / ホリー・ジャクソン

三部作最終巻。読み始めから辛い。シリーズ一作目を読んだ時には、こんな気持ちになるとは思わなかった。ちょっとハラハラがある青春ミステリー(いわゆるYA)だったのに。これまで関わって解決した事件によって、ひたすらに追い詰められていく、自ら追い込ん…

グレイス・イヤー: 少女たちの聖域 / キム・リゲット

女には魔力がある。魔力を解き放ち、良き妻となるため、16才になる少女は、森の奥に追放される。全員が無事に帰る保証はない。そんな「グレイスイヤー」に立ち向かう少女を描くお話。 グレイスイヤーとは何なのか。なかなか明かされず、不安だけが募っていく…

ベイビーわるきゅーれ

高校卒業後、オモテの顔を持つため、普通に働こうとする殺し屋二人の生活を描くお話。 https://www.netflix.com/jp/title/81619271 めっちゃ面白かった。 二人からしたら、一般人の日常は「非日常」なわけで、そこに適合できないというダメさ加減が、なんと…

金庫破りときどきスパイ / アシュリー・ウィーヴァー

第二次世界大戦下のロンドン。スパイに奪われた機密文書を取り戻すため、凄腕金庫破りエリーと堅物少佐ラムゼイがコンビを組むお話。 なんと言っても、危うい橋を渡りまくる主人公エリーがかっこいい。誰が敵国のスパイかわからない状態でも踏み込んでいく彼…

巨神覚醒 / シルヴァン・ヌーヴェル

前作「巨神計画」は、巨神について、なぜこんなものが、どうやって動かすのか、みたいな謎を追いかけるお話が中心だったけど、それが敵になったらどうなるかということを、まざまざと見せられる。その日、人類は……ってやつですね。 謎解きよりもサスペンスの…

ネクスト・ギグ / 鵜林伸也

ライブのアンコールの暗転時にボーカルが殺された。衆人観衆の中で……ライブハウスのスタッフが事件を追うお話。 謎解きよりも、ロックとは何か、音楽で生きていくとは、みたいなお話が熱くて心に残る。 ただ、ちょっと好みとは違うかな。 ネクスト・ギグ (創…

オーグメンテッド・スカイ / 藤井太洋

VR甲子園に挑む高校生のお話。というだけで、面白い。 学生寮の賑やかさや他校との交流も合わせて、一つのことに夢中になれるって、ほんとに素敵な青春だ。 惜しむらくは、僕がVR物作りの難しさを理解しきれなくて、大変さが分かりづらかったのがなあ。これ…

レーエンデ国物語 / 多崎礼

レーエンデの魅力がたっぷりで面白かったけど、最後がちょっと早い。もっとじっくり読みたかったなあ。 大きな物語の序章のようだけど、区切りがついてるので、ここからどう続けていくんだろう。 レーエンデ国物語 作者:多崎礼 講談社 Amazon

天使の傷 / マイケル・ロボサム

「天使と嘘」の続編。シリーズ第二弾。 元警察官が殺されたのは、昔の事件を掘り返そうとしたからではないかというところから、嘘が見抜ける少女イーヴィの過去が見えてくるお話。一作目とは異なり、ずっと続くサスペンス。不安が加速していく展開。 イーヴ…

天使と嘘 / マイケル・ロボサム

これは面白い。上下巻なのにあっという間だった。リーダビリティがすごい。 警察の捜査に協力する臨床心理士が、女子スケートチャンピオン殺害事件に挑むというお話は、オーソドックスな展開だけど、ここに人の嘘が見抜けるという施設の少女が絡んできて面白…

それは誠 / 乗代雄介

これはすっごい良かった。今年No.1かも。修学旅行で東京にきた高校生のお話。 仲の良い友達じゃないけど、運命共同体みたいな、そんな距離感が生み出す冒険が、とんでもなく青春だ。序盤読みづらさが嘘のように、夢中になってた。ほんと良かった。 以前、読…

この夏のこともどうせ忘れる / 深沢 仁

これめっちゃ好きだ。 「高校生の夏」をテーマにした短編集。多分こんな夏を過ごしたら忘れないだろうと思う青春なお話なのに、たぶん、タイトルどおりなんだろうなあ。どこか暗く、苦い。 中でも「空と窒息」「生き残り」が好み。 この夏のこともどうせ忘れ…

好きラノ2018上半期で手にとった本の感想

好きラノ2018上半期の結果を見て、 「 本好きの下剋上 」「86」「薬屋のひとりごと」「 りゅうおうのおしごと!」「 賭博師は祈らない」「 ファイフステル・サーガ 」「 叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士 」「ノゲノラ」以外、読んだことがなかったので、新作…

屍人荘の殺人 / 今村 昌弘

ミステリ愛好会の二人と探偵の実績を持つ女子大生が、映画研究部の合宿に参加したら、そこで連続殺人が……というお話。第27回鮎川哲也賞受賞作。 これは面白かった。 ちょっと郊外のペンションとか、なかなかに事件が起きそうなシチュエーションで、そりゃミ…

腐男子先生!!!!! / 瀧ことは

イケメンと評判の担任が、実は自分のBLサークルのファンだっという腐男子先生とのオタクトークラブコメ。 「神かよ」「それな!」とテンポよく繰り広げられる会話が、めちゃめちゃ楽しい。普段はクールなのに、語り手の女子高生揚羽といる時のテンションの高…

あとは野となれ大和撫子 / 宮内悠介

これ最っ高だった! 沙漠の小国の大統領が暗殺され、議員は逃げ、外圧が強まる混乱の中、残された後宮の少女たちが、臨時政府を立ち上げて、国家をやってみるお話。 後宮といってもそういうものではなく、身寄りのなくなった子供たちの教育場だったので、少…

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(12) / 大森藤ノ

ギルドからの依頼でダンジョン探索するお話。 ダンジョン探索は久しぶりな気がしますが、やっぱり面白いなあ。 ファミリアとしての成長もあり、安定感があるから、冒険でわくわくするし、それでも初めての「下層」ではドキドキするしで、あっという間に引き…

宝石商リチャード氏の謎鑑定 導きのラピスラズリ / 辻村七子

姿を消してしまったリチャードを追いかけるお話。 正義は情に厚いかもしれないけれど、べたっとした感じではないと思っていたので、リチャードのことを考え続けていく姿には違和感だらけ。こんなBLだったっけ?みたいな。 もしかしてこれは恋なのかと自問す…