大丈夫、積んでる

さうざんどますたーになれなくて

少女キネマ / 一肇

これはすっっっっっごい面白かった!

いわゆる貧乏大学生が集まるおんぼろアパートの一室の天井裏に、家出少女が隠れてたってところから始まる物語なんだけど、これがまたすんごい青春で、自分探しで、くすぶってる思いが一気に熱をもって走り出す展開に、夢中になって読んじゃいましたよ。

亡くなった友人を思い、彼の残した未完成の映画を見て揺さぶられたり、

悪態を付き合うような仲間が、認めてくれた瞬間の思いにじーんとなったり、

創作の苦しさやプレッシャーに悶えながら、恋やらなにやら、さまざまな思いに後押しされて物語を完成させていく姿に熱くなったり。

まったくもって面白かった。これ大好き。

少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語 (角川文庫)

少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語 (角川文庫)

 

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ラノベのプロ! 年収2500万円のアニメ化ラノベ作家 / 望公太

タイトル通り、アニメ化ラノベ作家の日常もの。

アニメ化こそしたけれど、そこまで売れっ子というわけじゃない作家さんの思いが、あれこれユーモラスに描かれてて面白い。

創作論的なものよりも、パッケージングとしてのお話が強く、それだけにシビアに感じることも。

どんな分野でもそうだけど、プロってのは大変だ。

ラノベ作家同士の集まりに、ラノベを読まない幼馴染が話に入れなくて……みたいなもどかしさがみられる恋愛模様とかもあって、大変にやにやさせられたんですが、ラストは驚きでした。まさかこんな一気にトップギアへいくとは……

続きが出るなら読んでみたい。

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貴族探偵対女探偵 / 麻耶雄嵩

推理はしないが解決する貴族探偵シリーズの第二弾。

今回は、タイトル通り女探偵との対決を描く五編です。

ドラマの一話は、こちらの一話が基になってるんですね。

毎度毎度いいところまで推理するのに……という女探偵さんが、だんだん可哀想になってくる。ドラマだと、女優さんの可愛さでカバーされてたけど、心情的には結構きついよね……。

ちょっとパターン化しちゃうのもあって、中盤以降はちょっとダレると思ったら、最後がこういう形で捻ってくるとは思わなかった。

つまりは女探偵さんのことを認めてるってことでいいよね?うん。そう思っておこう。

貴族探偵対女探偵 (集英社文庫)

貴族探偵対女探偵 (集英社文庫)

 

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居酒屋ぼったくり(7) / 秋川滝美

二人の関係に立ちはだかる者が……というお話よりも、お店に関する嫌がらせのほうがつらかった。ネット上の口コミなんて、消しようがないからなあ。

でも、お店のことに関して、弱さを見せることのできない美音が、涙を見せるほど近しい人がいたことがよかった。と思ったけど、そもそも要と付き合わなかったら、こんな目に合わなかったので、なんかスッキリしない(笑)

むしろ、ただのクレームに対して、常連さんたちが気にせず接してくれたことのほうが温かい気持ちになりましたね。

ネットがあったからこそ問題が拡散されたけれど、ネットがあったからこそつながりの深い人たちが集まってくれて。結局は、人、なんだなあ。

今回は食べ物よりもお酒のほうが気になりました。あのビールは飲んでみたい。

居酒屋ぼったくり〈7〉

居酒屋ぼったくり〈7〉

 

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マインド・クァンチャ / 森博嗣

主人公が記憶喪失になったというところから始まったので、どうなるのかと思ったけど、やはり思考は止まらずで面白い。これだけ考えているのに、剣を振るときは無になるというのが強さなんだろうなあ。

ただ、都を目指すということが生み出した結果は……主人公ほどのものであっても、流されざるを得ない状況と、そんなときの彼の心情を思うとやり切れなくなる。

おかげで中盤以降は、どうにもうーんって思ってしまったなあ。

面白さを感じられなくなったのは、考えることをやめたわけではないだろうけれど、これまでのように深い思考にならないこともあるけれど、主人公自身が楽しさを見いだせてないからだとも思いました。

それだけに最後のシーンは、うれしかったなあ。つかず離れずで旅をしてきたノギとなかなか合流しないからやきもきしてたんですもん。

きれいな終わり方ではありましたが、できればこのあとのふたりの様子も見てみたいな。

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傍観者の恋 / ナツ

幼馴染が好きで、でも幼馴染は彼の実の姉が好き。病弱な姉と親友でもある主人公は、彼の姉の面倒を見ることを条件に彼に結婚を迫って……というお話。

あらすじで、「両片思いの契約結婚」とあるように、実は彼のほうも……なんだけど、そのことは彼女に伝わらず、彼女も負い目があるから思いを出せず、それでも募る思いは止められずというのがもどかしくてもどかしくて。

親友との関係も、契約とか打算とか、そんなものではなく、つながる思いがあって、ああもうこれは家族だよなと思えば思うほどに、わかりきっている未来がつらくなるわけですが、でもそんな親友の存在が、ふたりの間を取り持ったんだと思えば、少しは切なさも和らぐかな。

やさしくまっすぐな想いが描かれるお話でした。

傍観者の恋 (フェアリーキス)

傍観者の恋 (フェアリーキス)

 

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WORLD END ECONOMiCA(2) / 支倉凍砂

1巻から四年後、精神的なショックから体の一部が動かなくなったハルが、再び立ち上がるまでを描くお話。

投資から離れたハルが、再び投資の世界に戻ってきたのは、支えてくれた人たちの思いと、四年前の後悔があったからですが、他の人の経験を通じて、過去の自分を見直すってのは、なかなかに重いものがあるなあ。一歩引いてみることができれば……というのは、当事者じゃ無理なんでしょう。

血が凍るような思いという比喩表現はありますが、ハルの経験はまさにそういうものだってのが、クリスの投資失敗から伝わってきて、背筋がぞくぞくしちゃう。

ただ、クリスの頑張りが伝わってくれば伝わってくるほど、不憫でしょうがない。ま、ハルからしたら、ハガナの存在ってのは、楔のように突き刺さってるからなあ。

それにしても、今回終盤の展開は恐ろしいものだった。投資の世界から、いうなればかたき討ちをしにいく過程で、ようやくたどり着いたと思ったら……これが力の差か。歯がゆいというよりも、あきらめが先に来てしまいそうになる。マネーゲームは恐ろしい。

さて、次で最後になるわけだけど、強敵の話もさることながら、ハガナの話がどうなるのか楽しみ。

WORLD END ECONOMiCA (2) (電撃文庫)
 

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